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シングルレングスアイアン探求の旅〜第1話(後編)

2019.06.28

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構成・文/大庭 可南太 

1974年生まれ。40歳を過ぎて突如ゴルフにハマり、米国の伝説のゴルフ理論書と言われる「The Golfing Machine」を日本で初めて翻訳。はてなブログ「ザ・ゴルフィングマシーンを勝手に解釈していくよ」の他、「PCM」でも「人はゴルフをする機械になるか」を連載中。

はてなブログ「ザ・ゴルフィングマシーンを勝手に解釈していくよ」

https://www.golfmechanism.com/aboutthisblog

シングルレングスアイアンの着想

 クラブは長くなれば、ヘッドスピードが増す、あるいはスイングプレーンがシャローになるためボール軌道が高くなることはヒッコリーの時代でも経験則として把握されていたと考えられる。よってヘッドのロフトが立ってバックスピン量が減り、球が低くなる分、シャフトを長くしてヘッドスピードとボールの高さが増すことで飛距離の稼げるクラブをつくることは一般的であったと思われる。しかしヒッコリーシャフトでグランドスラムを成し遂げたボビー・ジョーンズは、この時代すでに「もしスチールシャフトで製品誤差の少ないシャフトが作れるのであれば、シャフトの長さは全番手同じでもヘッドのロフト差だけで距離差が作れるセットが組めるはずだ」と考え、シングルレングスアイアンの製作に着手したという。

「球聖」ボビー・ジョーンズ (写真は以下より)http://www.billycasperdigitalnetwork.com/players/golfs-greatest-bobby-jones

時代は下って、1980年代にもトミー・アーマーというメーカーがシングルレングスアイアンのセットを販売した。

 重要な事が二つある。一つは、様々な長さのクラブを使い分けるよりも、同じ長さのクラブでゴルフが出来た方が有利なのではないかと考える発想は昔から現在まで存在してきたということ。もう一つはごく近年に至るまで、この試みは失敗に終わってきたということである。

私がシングルレングスアイアンの探求に着手する理由

 ごく近年と書いたのは、もちろんシングルレングスアイアンの代名詞とも言えるブライソン・デシャンボーが、2016年7月のプロ転向以降PGAツアー5勝、ライダー・カップのアメリカ代表にも選ばれるなどの成功を37.5インチに統一したアイアンセットを使用して成し遂げているからである。彼の幼少時代からのコーチであるマイク・シャイ、そしてデシャンボーのクラブを作ってきたデイビッド・イーデルはともに元ツアープロだが、「ザ・ゴルフィングマシーン」の中心的指導者であるベン・ドイルに師事してきている。もちろんデシャンボー自身も「ザ・ゴルフィングマシーン」を15歳の時から熟読してきており、大学ではサウザンメソジスト大学の物理学専攻である。

左からデイビッド・イーデル、マイク・シャイ、そしてデシャンボー (写真は以下より)https://www.golf.com/tour-and-news/bryson-dechambeau-custom-clubmaker-and-teaching-pro-might-be-start-golfing-revolution

ひとつだけ確かなことは、「ザ・ゴルフィングマシーン」を熟読したプロフェッショナル達が熟考と試行錯誤を重ねた結果、現在のデシャンボーのゴルフが出来あがったと言うことである。彼のシングルプレーンのスイングスタイル、あるいはシングルレングスアイアンの使用が、「ザ・ゴルフィングマシーン」の中でどのような意味を持つのかと、その考察が未来のゴルフ界にどのような影響を持つのかを考えることは「ザ・ゴルフィングマシーン」翻訳者の私にとっても責務のことのように思えるのだ。

 次回以降、なぜこれまでのシングルレングスアイアンが失敗したのか、本質的なメリット、デメリット、「ザ・ゴルフィングマシーン」における記述との関連性、そして実際のイーデルのシングルレングスアイアンの使用レビューなど、精一杯ディープなコンテンツとしてお届けしていこうと思う。

イーデルゴルフ HP

http://edelgolfjapan.com

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