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シングルレングスアイアン探求の旅〜第1話(前編)

2019.06.27

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構成・文/大庭 可南太 

1974年生まれ。40歳を過ぎて突如ゴルフにハマり、米国の伝説のゴルフ理論書と言われる「The Golfing Machine」を日本で初めて翻訳。はてなブログ「ザ・ゴルフィングマシーンを勝手に解釈していくよ」の他、「PCM」でも「人はゴルフをする機械になるか」を連載中。

はてなブログ「ザ・ゴルフィングマシーンを勝手に解釈していくよ」

https://www.golfmechanism.com/aboutthisblog

ゴルフって道具の種類が多すぎないか

 さて、今回よりスタートした本企画「シングルレングスアイアン探求紀」では、実際に筆者自身がシングルレングスアイアンを自分のプレーに取り入れつつ、そのメリット、デメリットや、この道具のゴルフ界における発展性などについても考察をしていきたいと考えている。

 41歳の時にゴルフを本格的にスタートし、ゴルフ関連のブログや執筆を行っているとはいっても、しょせん私のゴルフはド素人の域を出ていない。せっかくなので少しはゴルフも上手くなりたいと思い、レッスンコンテンツも準備中ではあるが、それは準備が出来てから改めてお知らせしたい。私のスポーツ歴はテニス、サッカーであるが、初めてゴルフを始めたときに思ったことは「なぜこんなにたくさんの道具がこのスポーツには必要なのか」ということである。

 テニスを始めるとき、ほとんどの人はラケット一本から始めるのではないか。もちろん上達すれば予備の本数を増やすことはあっても、基本的に道具のスペックは同じである。プロでもせいぜいストリングのテンションを変更したものを用意するくらいで、たとえばサービスゲームではこのしなりの強いラケット、リターンゲームではこの面の広いラケットなどという発想は存在しない。

 ところがこのスポーツでは初心者でもだいたい7〜8本、通常は14本もの道具を用意するという。しかもそれぞれが長さやロフトが異なり、状況に合わせて打ち分けることが必要であると。それだけ道具の方が複雑なスペック構成になっているのであれば、飛距離やボール高さなどの打ち分けは道具で決まるのでプレイヤーは全てのクラブを同じように振るだけで良いという話ならまだわかる。しかし実際にはドライバーとウェッジを同じように打っているようには見えないし、それどころか状況に応じてボール位置だの左足体重だのやたら細かい対応が必要らしいのである。一方、大きな声では言えないが「あなたがそのスプーンって道具使っているのを見たことないんですが」という状況もしばしば見かける。ドライバー→ユーティリティ→ユーティリティ→ウェッジでグリーンオン、ってどのホールでもそればっかりなのであればパター入れて4本でプレー出来ますよねと。どう見てもメーカーがクラブを多く売るために必要以上に複雑にしているとしか思えないのであった。

歴史を調べると

 そう思って(ネットで雑に)ゴルフの歴史など調べてみると、どうやら1920年代にスチールシャフトが一般化されるまでのヒッコリーシャフトの時代には、主力7〜8本+予備(折れやすいので)くらいの本数でゴルフをしていたようである。ヒッコリーは自然素材なので、思うような長さがなかったり、枝節の影響などで調子が変わってしまったり、個体を見極めながら一本ずつ「あつらえ」でクラブをデザインしていたと想像される。まさにテーラーメイドである。しかも折れやすい。手間を考えれば価格も高かったのではないだろうか。そうしたクラブで状況に応じて距離を打ち分ける腕前をゴルファー達は競っていたのではないだろうか。

 しかし状況はスチールシャフトの登場によって一変する。ヒッコリーよりも硬く、軽く、折れず、個体誤差の少ないシャフトの登場によって、ボールの打ち分けは格段にオートマチックになったと思われる。

 この転換は、まさに洋服の歴史が「あつらえ」から「既製服(プレタポルテ)」に変化したのと同じくらいの大転換であったと思われる。それまで展示会で新作を発表し、注文を取り、顧客の体型に合わせて手作りする時代から、S、M、Lとおおまかに三つサイズがあればどれかが顧客にフィットするという発想で、大量生産が可能になったのである。同じことがゴルフにも起きたのではないか。すなわちクラブの大量生産が可能になったと思われる。

 当時プロ達はスチールシャフトが公認されるやこぞってその導入を進め、ほとんどのプロ達が20本以上のクラブを持つようになったという。中には樽の中にクラブを何十本も突っ込んで、キャディがそれをリヤカーで引っ張ってラウンドするということまであったようである。それが現在のルールである上限14本に落ち着いた経緯は諸説あるようだが、1ダース12本+パター1本の13本だと13という数字がキリスト教徒には縁起が悪い数字なので14本になったというのが私の拙いネット上におけるリサーチの中では優勢な説である。つまりあまり論理的な理由には思えないのである。

シングルレングスアイアンの着想

 クラブは長くなれば、ヘッドスピードが増す、あるいはスイングプレーンがシャローになるためボール軌道が高くなることはヒッコリーの時代でも経験則として把握されていたと考えられる。よってヘッドのロフトが立ってバックスピン量が減り、球が低くなる分、シャフトを長くしてヘッドスピードとボールの高さが増すことで飛距離の稼げるクラブをつくることは一般的であったと思われる。しかしヒッコリーシャフトでグランドスラムを成し遂げたボビー・ジョーンズは、この時代すでに「もしスチールシャフトで製品誤差の少ないシャフトが作れるのであれば、シャフトの長さは全番手同じでもヘッドのロフト差だけで距離差が作れるセットが組めるはずだ」と考え、シングルレングスアイアンの製作に着手したという。

(続く)

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