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カメラマン・和田利光氏、斎藤秀明氏の写真にうっとり!30年前に発刊された、別冊BAFFY.「SUPER SWING図鑑(1989年発行)」に掲載されていた(石川遼プロも憧れる)セベ・バレステロス選手【全盛期スイング】を本気で解説します(前編)〜PCM SWING ANALYZE

2019.11.08

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文・構成/猿場トール 

「伝説のプロコーチ」後藤修氏が提唱する「大型スクエア打法」に傾注。ボビー・ジョーンズ、ベン・ホーガン、ジャック・ニクラウス等、古今東西のスイング技術を研究。現在、ゴルフメディアを中心に寄稿するゴルフライター。

スイング写真が美しかった昔のゴルフ誌は、スクラップするほど素晴らしかった

皆さんは、ソニー出版から刊行されていた「BAFFY(バフィー)」というゴルフ誌を覚えてらっしゃいますでしょうか?

昔のゴルフ誌は、贅沢にも美しい写真と丁寧に描かれたイラストがふんだんに描かれスクラップや保存して何度も見たくなる魅力がありました。

今、改めて拝読してもカメラマンを務めた和田利光氏、斎藤秀明氏の写真は息を飲むほどの美しさと生命力を感じます。

写真に入り込むほど、「まるで生きている」ほど世界のトッププロのスイングは躍動しています。それは、単なる連続写真ではなく、まるで動画のようです。

現在では考えられないほどのコストをかけていた筈で、今このような出版物を制作するのは現実として非常に難しいのでないでしょうか?

また、世界のトッププロは意外にも身近にあった気がします。

国内男子ツアーに世界のトッププロが招待され、AONが対峙していた時代。四半世紀前の「昔の話」ではありますが、国内賞金王の獲得賞金が世界一クラスだった事を追記しておきます。

メジャー5勝【スペインの星】セベリアーノ・バレステロス選手

『X=X(エックス・イコール・エックス)』の体幹の入れ替えバランス

下の写真は、珍しくフィニッシュの写真が【2枚】あります。

セベ・バレステロス選手が活躍した1980年代のスイングを見た事が無い方にとっては「あ、飛距離よりも方向性のスイング」と感じるかもしれません。

しかし、彼は世界トップクラスのロングヒッターでした。

パーシモン(柿の木)ヘッド&スチールシャフトのドライバーを使いながら、ゆうに300ヤードを超えるロングショットを放っていました。

超絶ロングヒッターでありながら、スイングは「いつまでも放たれたボールを見つめていられる」ほどバランスに優れた超一流のスイングでした。

この技術を『X=X』と論破したのは、ただ一人。後藤修氏です。

トップ&フィニッシュ【両方】での捻転が抜群のリズムを作る

「捻転」と一言で言っても、トッププロでさえ安定したテンポとバランスを維持し続け選手生命を全うすることは至難の技です。

「全盛期」のセベ・バレステロス選手のスイングを見ると、そのバランスの素晴らしさは一目瞭然です。

両足つま先(親指)と両肩(脇)を線で結んでみて下さい。

腰や膝を「スタンス幅」からハミ出す事なく、しかも頭の高さを変える事なく「肩:100度以上」「腰:50度以上」の見事な【捻転差】のトップを作り出しています。

現代で言えば『Xファクター』と呼んだほうが良いのでしょうか?

30年以上前に300ヤードを生み出すスイングを自ら作ったセベ・バレステロス選手は「歴史に残る天才」だったと言えるでしょう。

超一流に共通する【なで肩】【丸い肩】

「アゴの下に左肩…」は実は至難の技

昔からレッスンの現場で使われていたのが「左肩はアゴの下に…」の言葉ですが、アドレス時には両肩はアゴより高い位置にあります。

現在なら「肩は縦に回転する」と安易にレッスンしている光景を見かけますが、安易に行ってしまうのは【弊害】が生じてしまう可能性があります。

ただ単に「肩の縦回転」では、右肩が高くなりすぎてしまい『X=X』のバランスは非常に歪んでしまうからです。

昔で言う「ギッタンバッコン」や「極端な左足体重」になり、ダウン〜インパクのどこかで飛び上がるように左サイドを戻してインパクトをしなければいけなくなります。

もしよろしければ、皆さんも鏡の前でアドレスしてみて下さい。特に男性の方は、アゴの高さよりも遥かに左肩の位置が高いと思いますがいかがですか?

バレステロス選手は、天性?とも言える【なで肩】、つまり丸い肩を持っていました。

右肩をとび上がらせずとも低く左肩をアゴの下に入れるバックスイングができる、【生まれつき】と【スイング技術】が素晴らしかったと言えます。

「アーリーコック」「ショートアーム」の正体

【バックスイングはコンパクトが良い】?

否、「コンパクトなスイングほど曲がる」の意味

今見ると非常に懐かしいCMです。

「BAFFY」の裏表紙には、

ブリヂストン「NEWING」以降、ツーピースボールの広告塔として現在もシニアツアーで活躍しているPGA会長の倉本選手の写真です。

現在ではあまり言われなくなりましたが、腕を長く使わずにトップを作る「ショートアーム」トップがあります。倉本選手のトップが典型的ですが、【捻転の深さ】に目を向けると一目瞭然です。

腕の形(コック)は全く異なるものの、【深い捻転】のトップという意味では非常に共通するスイングの持ち主です。

40代で大復活を遂げた、第二次全盛時代のジャンボ尾崎選手は「コンパクトなヤツほど曲がる」と、ホールの待ち時間には硬い身体をほぐす動作をティーグランドでも行っていました。

先日行われた「ZOZO」でも、同じく40歳を超えたタイガー・ウッズ選手が、しきりと素振りを「深くゆっくり」行っていたのも印象的でした。

コックとは何か?

セベ・バレステロス選手のバックスイングを見ると、現代のトッププロのスイングに見られない「アーリーコック」がみられると思います。

この動きは、当時も同じく比較的に少数派の動きでしたが現在に比べると少数派ながら存在しなかったわけではありません。

「コック」動作は、【ほぼ日本語】と言っても過言では無い独特な表現です。

アドレス時に作られた「腕とシャフトの角度」を鋭角にする動作を特に日本ではコックと呼んでいます。

しかし、「人間の身体の構造上」グリッププレッシャーを保ったまま【90度以下に鋭角な角度】にするのは、非常に柔らかい手首がなければできません。特に、小指をしっかりと握っている場合は「ほぼ90度付近が限界」では無いでしょうか?

「カッピング」と言われる、左手甲側におる動作(現在はフェースが開く行為なのでエラー動作の見方が多い)や、

または逆に左手首が膨らむ(掌屈)にでもしない限り、コックと言うより「ロック」の言葉の方が近い筈です。

セベ・バレステロス選手は腕とシャフトの角度を「パワーアングル」と呼び、この角度をバックスイングの早い段階で「ロック」する事で、ダウンスイング時のパワーに転換したかったのではないでしょうか?

また、この動作を行う事で「左肩を低く保つ」事がしやすく、深い捻転を作りやすかったようです。

(後編に続く)

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